「ICL(眼内コンタクトレンズ)手術を受けたいけれど、失敗したらどうしよう」と不安になっていませんか?
結論から言うと、ICL手術で失明するような重大な失敗が起きる可能性は、きわめて低いです。しかし、医療手術である以上、リスクや失敗がゼロになるわけではありません。
ICLの失敗には、大きく分けて次の2つがあります。
・目のトラブル(細菌が入る、目の中の圧力が上がるなど) ・見え方の不満(度数が合わない、夜に光が眩しく見えるなど)
後悔しないためには、事前にどのようなリスクがあるのかを知り、正しい対策をとることが大切です。この記事では、ICL手術で起こりうる7つの失敗例や発生確率、万が一のときの対応法をわかりやすく解説します[1]。
ICL手術に失敗はある?まず知っておきたいこと

まずは「失敗する確率はどのくらいなのか」「どのような状態を失敗と呼ぶのか」について、基本的なポイントを整理しておきましょう。
ICL手術の失敗率はどのくらい?
ICL手術は安全性の高い治療法ですが、失敗の可能性が完全にゼロというわけではありません。
海外の大規模な研究データなどによると、手術後にレンズの位置を直したり、別のレンズに入れ替えたりする再手術の割合は、約0.5%〜2%程度とされています[1][2]。
「失敗率」を考えるときは、以下の3つを分けて考えることが大切です。
・トラブルが起きる確率:感染症などが起きる割合 ・やり直しの確率:レンズの位置調整や交換を行う割合 ・満足度:手術を受けて良かったと感じる人の割合(研究では95%以上が満足と回答)
これらを混ぜて考えてしまうと、「失敗しやすい手術なのかな」と誤解してしまうため注意が必要です。
ICL手術で失明する可能性はある?
ICL手術を受けて失明する可能性は、ゼロではありませんが極めて低いと言えます[1]。
失明につながる主な原因は、手術のときに目の中に細菌が入ってしまう「感染症」です。しかし、現在の医療現場では衛生管理が徹底されており、感染症が起きる確率は約0.017%(およそ6,000人に1人)と非常に低くなっています[2]。
万が一感染してしまった場合でも、すぐに発見して目薬や洗浄の手術を行えば、視力を守ることができます。
医学的な失敗と術後の後悔はどう違う?
ICLについて語られる「失敗」には、2つの意味があります。
【医学的な失敗】 目に病気やトラブルが起きることです。たとえば、細菌が入ってしまったり、目の中の圧力が上がってしまったりする状態を指します。
【術後の後悔】 手術自体は成功しているのに、見え方に納得がいかないことです。「遠くは見やすいけれど近くを見ると目が疲れる」「夜の光が眩しい」といったケースがこれにあたります。
手術自体には何の問題もなくても、「思っていた見え方と違う」という理由で後悔してしまうケースがあることを覚えておきましょう。
ICL手術で起こりうる7つの失敗例・リスク

ICL手術で起きる可能性がある7つの失敗例について、原因や対処法を解説します。
① ハロー・グレア現象が起こる
どんな症状?:夜に街灯や車のライトを見たとき、光のまわりに輪っかが見えたり(ハロー)、光が伸びて眩しく感じたり(グレア)します。
なぜ起こる?:暗い場所で黒目が大きくなったとき、目に入れたレンズの端や、レンズの中央にある小さな穴に光が反射するためです。
どのくらい起きる?:手術直後は多くの人に現れますが、数ヶ月〜半年ほどで脳が慣れ、気にならなくなることがほとんどです。
どう対応する?:基本的にはしばらく様子を見ます。どうしても生活に支障が出る場合は、レンズを取り出すこともあります。
② レンズの度数が合わず、見え方に不満が残る
どんな症状?:「遠くがボヤける」「近くを見ると目がすごく疲れる」といった不満が残ることがあります。
なぜ起こる?:手術前の検査データと、手術後の実際の見え方にわずかなズレが生まれることが原因です。
どのくらい起きる?:しっかり検査を行っていればごく稀ですが、数%の確率で度数の調整が必要になります。
どう対応する?:レンズを別の度数のものに入れ替えるか、必要に応じてメガネを併用します。
③ レンズが回転・位置ずれを起こす
どんな症状?:乱視を直すためのレンズを入れたあと、視力が急に落ちてブレて見えます。
なぜ起こる?:目の中でレンズがフィットせず、向きがくるっと回ってしまうことで起こります。
どのくらい起きる?:乱視用のレンズを入れた人の数%程度で報告されています[2]。
どう対応する?:もう一度目の中に器具を入れ、レンズを正しい向きに戻す手術を行います。
④ 眼圧が上がる・緑内障につながる
どんな症状?:目の中の圧力(眼圧)が高くなり、目が痛くなったり頭痛がしたりします。
なぜ起こる?:レンズが原因で、目の中を流れる水分(房水)の通り道が狭くなってしまうことで起こります。
どのくらい起きる?:現在使われている「真ん中に穴が開いたレンズ(ホールICL)」になってからは、このトラブルはめったに起きなくなりました[1]。
どう対応する?:目薬を使って圧力を下げます。改善しない場合は、レンズを取り出したり交換したりします。
⑤ 白内障が起こる
どんな症状?:目がかすんで、全体が白っぽく見えにくくなります。
なぜ起こる?:目の中にあるもともとのレンズ(水晶体)にICLレンズが触れてしまい、濁ってしまうことで起こります。
どのくらい起きる?:穴が開いた最新のレンズでは、発生する確率は1%未満と非常に低くなっています[1]。
どう対応する?:ICLレンズを取り出し、通常の白内障手術(濁った部分を取り除いて新しいレンズを入れる治療)を行います。
⑥ 感染症が起こる
どんな症状?:目が強く充血し、強い痛みや目やにが出て、急に視力が落ちます。
なぜ起こる?:手術のときや手術のあとに、傷口から目の中に細菌が入ってしまうことで起こります。
どのくらい起きる?:数千人〜数万人に1人という、極めて稀なケースです[2]。
どう対応する?:すぐに抗生物質の目薬や飲み薬を使い、目の中を洗う手術を行います。
⑦ ドライアイや目の不快感が生じる
どんな症状?:目が乾く、ゴロゴロする感じが続きます。
なぜ起こる?:レンズを入れるために角膜(黒目)を数ミリだけ切るため、一時的に涙の出方が変わることが原因です。
どのくらい起きる?:手術直後は多くの人にみられますが、数週間〜数ヶ月で落ち着きます。角膜を大きく削るレーシック手術に比べると、ドライアイのリスクは低いです。
どう対応する?:潤いを与える目薬(人工涙液など)をつけて経過を見ます。
ICL手術で失敗・後悔しやすい人の特徴

ICL手術を受けて「失敗した」と感じやすい人には、共通する特徴があります。
ICLの適応条件を満たしていない人
目の形や角膜の状態によっては、ICL手術を受けられない人がいます。たとえば、目の中の空間が狭い人は、レンズを入れると圧力が上がりやすくなってしまいます。事前検査をうやむやにして手術を受けると、トラブルの原因になります。
術後の見え方に過度な期待をしている人
「手術を受ければ、どんな距離でも完璧に見えるようになる」「老眼も完全に治る」と思い込んでいると、現実の見え方とのギャップで後悔しやすくなります。ICLは近視や乱視を治す手術であり、加齢による老眼まで消せるわけではありません。
術後のケアや定期検診を十分に受けられない人
医師から出された目薬をしっかりつけなかったり、自己判断で通院をやめてしまったりする人は危険です。感染症などのトラブルが起きやすくなり、発見が遅れて重大な失敗につながる恐れがあります。
ICL手術で失敗した場合は元に戻せる?

ICLの大きなメリットは、「目の中に入れたレンズを取り出せること」です。
レンズの位置調整・交換が必要になるケース
度数が合わなかったり、乱視用のレンズが回転してしまったときは、レンズの向きを修正したり、別の度数のレンズに取り替えたりすることができます。
ICLレンズを取り出せば元の目に戻る?
ICLは目を削らない手術なので、レンズを取り出せば手術前の状態に戻すことができます。
ただし、「重いトラブルが起きても完全にゼロになかったことにできる」という意味ではありません。万が一、強い感染症や白内障などの病気が進行してしまっている場合は、レンズを取り出したあとも別途治療が必要になります。
術後に異常を感じたときの対処法
手術のあとに次のような症状が出た場合は、がまんせず、すぐに手術を受けた眼科へ連絡してください。
・目が激しく痛む、または頭痛がする ・急に見えにくくなった、全体がかすむ ・白目が真っ赤に充血している ・光が眩しくて目を開けていられない
ICL手術で失敗を防ぐための5つのポイント

ICL手術で失敗や後悔を避けるために、必ず押さえておきたいポイントを5つ紹介します。
- 事前に入念な検査を受ける 自分の目がICL手術に向いているか、しっかり確かめてもらいましょう。
- 経験豊富な眼科医を選ぶ ICLの専門資格を持った「ICL認定医」や、実績の多い医師を選びましょう。
- リスクやデメリットの説明を受ける 良いことばかりでなく、ハロー・グレア現象などの注意点も丁寧に説明してくれる医師が安心です。
- 術後のアフターケア体制を確認する 万が一レンズ交換が必要になったときの保障制度があるか確認しておきましょう。
- 術後の目薬・定期検診を守る 指定された目薬の回数や通院スケジュールは必ず守りましょう。
ICLの失敗に関するよくある質問
Q. ICLで失敗した人は何人くらいいますか?
大規模なデータによると、レンズの調整や交換などの再手術を受けた人は全体の約0.5%〜2%程度です。9割以上の非常に多くの方が、満足のいく視力を手に入れています[1][2]。
Q. ICL手術で後遺症が残ることはありますか?
生涯残ってしまうような重い後遺症が出る可能性は、非常に低いです。夜間の光が眩しく見える「ハロー・グレア現象」も、多くは半年ほどで慣れて気にならなくなります。
Q. ICL手術後に視力が戻らないことはありますか?
ICLは角膜を削らないため、レーシックのように「何年か経って視力が元に戻ってしまう(近視戻り)」リスクはほとんどありません。ただし、加齢による老眼などの変化は自然に起こります。
Q. ICLとレーシックではどちらが安全ですか?
どちらも安全性の高い手術ですが、ICLには「角膜を削らない」「万が一のときにレンズを取り出せる」という強みがあります。万が一のときにやり直せるという点では、ICLの方が安心感があると言えます。
Q. ICLで失敗した場合、再手術はできますか?
はい、可能です。度数やサイズが合わない場合はレンズの入れ替えを行い、レンズの位置がずれた場合は元の位置に戻す再手術を行うことができます。
まとめ|ICL手術のリスクを理解して納得できる選択を

ICL手術は、正しく受ければとても高い視力回復効果が期待できる素晴らしい治療法です。
・失明するリスクはきわめて低い ・万が一不満や問題があってもレンズを取り出したり交換したりできる ・失敗を防ぐには、丁寧な事前の検査と術後のアフターケアが一番大切
不安をなくすためには、まずは信頼できる眼科で自分の目がICLを受けられる状態なのか診てもらうのが一番です。
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参考文献・参考資料一覧
[1] Moya T, Javaloy J, Alió JL, et al. “Current status of the Implantable Collamer Lens.” Expert Review of Ophthalmology, 2016. https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/17469899.2016.1216314
[2] Packer M. “The Implantable Collamer Lens with a Central Hole: A Review of Clinical Outcomes.” Clinical Ophthalmology, 2015. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4562571/
[3] 日本眼科学会 屈折矯正手術ガイドライン https://www.nichigan.or.jp/