東京都豊島区池袋の眼科 | 大沢眼科 サンシャイン60ビル7F

コラム

白内障手術で選ぶ眼内レンズ

2025.10.17

Column

― あなたの“見え方”をデザインする ―
白内障の手術では、濁ってしまった水晶体を取り除き、「眼内レンズ」という人工のレンズを入れます。このレンズが新しいピント合わせの役割を担い、クリアな視界を取り戻します。

単焦点レンズと多焦点レンズの違い

白内障手術で使用される眼内レンズには、大きく分けて 「単焦点眼内レンズ」 と 「多焦点眼内レンズ」 の2種類があります。一般的には「単焦点眼内レンズ」が使われますが、焦点が合うのは1か所のみです。遠くにピントを合わせると近くでは老眼鏡が必要になり、近くに合わせると遠く用のメガネが必要になります。こうした不便を減らすために開発されたのが「多焦点眼内レンズ」です。複数の距離にピントを合わせられるため、メガネに頼る場面を減らし、自然な見え方を目指すことができます。

単焦点眼内レンズとは

一般的な白内障手術で使用されるのは、単焦点眼内レンズです。
このレンズは、1つの距離(遠く・中間・近くのいずれか)に焦点が合うように設計されています。焦点を合わせた距離以外を見る際には、眼鏡の助けが必要になります。

たとえば、
・遠くに焦点を合わせた場合 → 近くを見る時に老眼鏡が必要
・近くに焦点を合わせた場合 → 遠くを見る時に眼鏡が必要

単焦点レンズは、解像度が高くクリアな見え方が得られる一方で、ピントを自由に変えられないという制約があります。

多焦点眼内レンズとは

単焦点の弱点を補うために開発されたのが、多焦点眼内レンズです。
複数の焦点を持ち、遠くと近く、または遠・中・近のように複数の距離にピントを合わせることができます。これにより、日常生活の多くの場面で眼鏡に頼らない視力を得られる可能性があります。

ただし、多焦点レンズには特性があります

光を複数に分けて利用する構造のため、
・夜間にライトがにじんで見えたり(ハロー・グレア)、
・コントラスト感度(見え方のくっきり感)が低下することがあります。
・黄斑変性や緑内障など他の眼の病気がある場合には適応外となることがあります。
・費用面では、単焦点レンズに比べて自己負担が大きくなります。

多焦点眼内レンズ(選定療養)

遠くも近くも、複数の距離にピントを合わせられる「遠近両用レンズ」です。2007年に厚生労働省で承認され、2008年に先進医療として導入。現在は「選定療養」として、追加費用で選択できるようになっています。

多焦点眼内レンズ(自由診療)

他にも国内で使用されている多焦点眼内レンズが複数存在しますが、これらは日本国内での薬事承認を受けておらず、医師の裁量のもと、個人輸入という形で使用されています。日本で臨床治験が行われていないため未承認ではありますが、欧州では長年の使用実績があり、CEマーク(欧州の医療機器安全基準)を取得している、安全性の確立した眼内レンズです。なお、未承認の眼内レンズを用いた場合には「選定療養(保険併用制度)」の適用はできず、手術にかかる費用は全額自己負担となります。

一人ひとりに“ちょうどいい見え方を

当院では、単焦点・多焦点を含め、複数種類の眼内レンズを取り扱っております。患者様の年齢・生活スタイル・職業・目の状態を踏まえ、「どの距離を裸眼で快適に見たいのか」「夜間運転が多いのか」「読書やPC作業が多いのか」といった点を丁寧にお伺いしたうえで、最も適したレンズをご提案いたします。

また、多焦点眼内レンズに精通した視能訓練士(ORT)も在籍しており、術前検査・見え方のシミュレーション・術後の経過サポートまで、チームで患者様をサポートいたします。

ご相談はお気軽に

「どんなレンズが自分に合うのか分からない」
「夜間運転をするけれど、多焦点は大丈夫?」
といった疑問にも、丁寧にお答えいたします。