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IPL(フォトフェイシャル)について
2025.05.27
IPL(フォトフェイシャル)は、もともと1998年に、毛細血管拡張や血管腫といった血管のトラブルを治療する目的で開発された医療機器です。
その後、冷却システムの改良や、光の照射時間(パルス幅)の調整が進み、患者様の肌質や症状に合わせて、より細かく安全に設定できるようになりました。これにより、治療中の痛みや不快感が軽減されるだけでなく、治療効果も大きく向上しています。
現在では、複数の波長を活かし、シミやくすみ、赤ら顔、小ジワなど様々な肌トラブルに対応できる「肌の総合的な若返り治療(スキンリジュビネーション)」として広く活用されています。
赤ら顔・毛細血管拡張の改善(血管収縮・ヘモグロビン吸収)
IPL(フォトフェイシャル)は、560〜595nmの波長の光を使用することで、顔の赤みの原因となる細かい血管にアプローチします。この波長の光は、血管内の赤い色素(ヘモグロビン)に反応し、光のエネルギーが熱に変わることで、拡張した血管が徐々に収縮し、目立たなくなっていきます。
さらに、照射後には肌本来の自然な回復力が働き、過剰に広がった血管が少しずつ整えられていくことで、赤みがゆっくりと改善されていきます。
即時的な変化に加え、より高い効果を得るためには、3~5回程度の継続的な治療をおすすめしています。
シミ・そばかす・くすみの改善
IPL(フォトフェイシャル)は、特定の波長の光を肌に照射することで、シミやくすみの原因となるメラニンに働きかける美肌治療です。特に560〜600nmの波長の光は、メラニン(黒~茶色の色素)に強く吸収され、メラニンを熱によって変性・微細破壊します。
この反応により、肌のターンオーバー(新陳代謝)が活性化され、破壊されたメラニンは古い角質とともに自然に排出されていきます。また、IPLによって誘導されるサイトカインのネットワークは、メラノサイト(メラニンを作り出す細胞)に間接的に作用し、新たなメラニンの生成を抑える働きがあるとされています。
こうした作用により、IPL(フォトフェイシャル)はシミやくすみの改善に加え、肌全体の透明感や明るさを引き出す治療です。
初回の施術で薄いシミの改善を実感される方もいますが、より高い効果を得るためには、3~5回程度の継続的な治療をおすすめしています。
また、一時的にシミが濃く浮き出たように見えることがあります(いわゆる“マイクロクラスト”)。これは、破壊されたメラニンが排出される自然な過程であり、数日〜1週間ほどでかさぶたのように自然にはがれ落ちますのでご安心ください。
肌のハリ・ツヤ感の向上(コラーゲンの増生)
年齢を重ねると、肌の奥(真皮)にあるコラーゲンが減少し、それに伴ってシワやたるみ、肌のハリ不足や質感の乱れといった変化が目立つようになります。
IPL(フォトフェイシャル)は、700nm以上の波長の光が熱(約60〜65℃)を真皮に届けます。コラーゲン線維に軽度の熱損傷を与え、この温度帯でコラーゲン線維の一部に熱変性が生じます。この過程にはHeat Shock Protein(熱ショックタンパク)やTGF-β1(トランスフォーミング増殖因子β1)などのサイトカインや増殖因子も関与し、それを引き金として創傷治癒過程が活性化され、最終的にコラーゲンの新生と増生が促進されます。
その結果、肌のハリが回復し、小ジワやたるみ、質感の乱れが改善されていきます。
ただし、熱を加えすぎると、逆にコラーゲンが硬くなったり、瘢痕が残るおそれがあります。そのため、IPL治療では冷却装置を併用し、肌表面(表皮)をしっかり守る、熱の影響を真皮のみに限定する設計がされていて
これにより、治療後も表皮が傷つくことなく、日常生活にすぐ戻れる非侵襲的な治療が可能となっています。
毛穴の引き締め・ニキビ改善
① コラーゲン再生による毛穴の引き締め
IPLによりコラーゲンが増えると、肌のハリが回復し、重力や加齢で開いていた毛穴(たるみ毛穴)が引き締まるようになります。
② 表皮代謝の促進による角質の排出と角栓の除去
IPLによって角化細胞が活性化され、肌のターンオーバーが促進されることで、古い角質や毛穴の詰まりが自然に排出されやすくなり、毛穴が詰まりにくくなることで広がりを防ぎ、引き締まった状態へと導かれます。
③ 皮脂分泌の調整による皮脂による開大毛穴の改善
IPLによる熱は余分な脂を溶かし、正常な脂に置き換わることと、皮脂腺の働きを穏やかに整える作用があり、皮脂の過剰な分泌を抑えることで、皮脂によって広がっていた毛穴が目立ちにくくなり、引き締まった印象の肌へと改善されていきます。