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コラム

乱視用ICL(眼内コンタクト)の要は「角度」

2025.12.22

乱視用ICL(眼内コンタクト)の要は「角度」
Column

― VERIONで“ズレにくい”乱視矯正を ―
乱視用ICL(トーリックICL)の仕上がりを大きく左右するのは、レンズの「角度(軸)」がどれだけ正確に合っているかです。
当院では、その精度を高めるために手術ガイドシステム VERION(ベリオン) を活用しています。

本記事では、

乱視とは何か

乱視用ICLにおいて「角度」が重要な理由

VERIONが果たす役割について、順を追ってご説明します。

1.乱視とは

1.乱視とは

乱視とは、角膜や水晶体の形がわずかにゆがむことで、光が一点に集まりにくくなる状態です。
視力検査では数値が出ていても、

にじむ

ぼやける

二重に見える

といった「見え方の質の低下」を自覚されることがあります。

乱視があると起こりやすい症状

文字や輪郭がにじむ

二重・ダブって見える

夜間や暗い場所で見えにくい

目が疲れやすい、頭痛が出やすい

乱視の種類

乱視には、大きく分けて 正乱視 と 不正乱視 があります。

正乱視
角膜や水晶体が一定の方向にゆがんでいる状態で、生まれつきのことが多く、
眼鏡・コンタクトレンズ・ICLなどで矯正しやすい乱視です。

不正乱視
角膜のゆがみが不規則な状態で、
ケガ、病気、手術後、重度のドライアイなどが原因となることがあります。
眼鏡や通常のコンタクトレンズでは矯正が難しい場合もあり、原因の治療が重要になります。

👉 ICLで矯正できるのは「正乱視」のみです。

LASIKは角膜を削る手術のため、
「乱視が強くて適応外と言われた」という方が、ICLを選択されるケースも少なくありません。

2.なぜICL手術に「VERION」が必要なのか

乱視用ICL(Toric ICL)は、角度のズレにとても敏感なレンズです。

一般的に、レンズが1°ずれるごとに、乱視矯正効果は約3.3%低下すると言われています。

切開による“乱視の変化”

角膜はドーム状、いわば「風船」のような構造をしています。
そのため、切開した方向 → わずかに平坦化
     直交する方向 → 相対的にカーブが強くなる

という変化が起こります。これにより乱視の軸が変化する現象を 惹起乱視 と呼びます。

この原理を踏まえ、医師は 切開位置そのものを「乱視を整える要素」として計算 しています。

👉 つまり、
「どこを切り、どの角度にレンズを固定するか」この2つが乱視用ICLの完成度を決めるのです。

VERIONを使う理由は、とてもシンプルです。
乱視矯正に必要な「角度」と「位置」を、手術中に確認しながら合わせられるからです。

3.手術ガイドシステム「VERION(ベリオン)」とは

VERIONは、3つのステップでICL手術を支えます。
① 計測:VERION アナライザー
② 軸決め:手術計画(ビジョンプランナー)
③ GUIDE:手術中ガイド(デジタルマーカー)
です。

① 計測:VERION アナライザー

① 計測:VERION アナライザー

角膜乱視

眼の形状

虹彩模様、角膜輪部、強膜血管

といった一人ひとり異なる眼の特徴を詳細に測定します。
これらは「目の指紋」のような情報で、
手術中のナビゲーションの基礎データとなります。

② 軸決め:手術計画(ビジョンプランナー)

② 軸決め:手術計画(ビジョンプランナー)

専用ソフトを用いて、

乱視用ICLレンズの正確な固定角度

必要に応じた角膜(または強角膜)切開位置・範囲

などを、術前に細かく設計します。

この計画は、手術中に顕微鏡の術野へ
オーバーレイ表示として投影されます。

③ GUIDE:手術中ガイド(デジタルマーカー)

③ GUIDE:手術中ガイド(デジタルマーカー)

手術顕微鏡と連動し、

切開位置

乱視用ICL(Toric ICL)の軸

レンズの固定位置

をリアルタイムで表示します。

眼がわずかに動いても自動追尾されるため、
医師は常に「正しい位置」を確認しながら手術を進めることができます。

👉 これにより、
術前計画を手術中に“再現しやすい環境” が整います。

当院の考え

VERIONは、術前に立てた計画を、できるだけ正確に実現するための重要な一歩だと考えています。

患者様一人ひとりの眼の特徴に向き合い、丁寧で再現性の高い手術を積み重ねることで、より満足度の高い「見え方」につなげていく。

その姿勢を、これからも大切にしてまいります。